2,600年の歴史を持つ港で出会うマスターシェフの料理、プロヴァンスの息吹
フランス南部のプロヴァンスと地中海を巡り、歴史あるマルセイユの美食や伝統工芸、そして中世の面影を残す村々を紹介する。
フランス南部のプロヴァンスと地中海は、眩い日差しと独自の文化が息づく場所だ。伝統と現代が共存し、世界中の美食家を魅了するこの地への旅は、地中海最大の港湾都市、マルセイユから始まる。仁川を出発し、11時間の飛行と、さらに国内線で1時間半飛んで到着したマルセイユは、プロヴァンスの魅力を秘めた旅の出発点である。
2,600年の歴史を抱くマルセイユ、地中海の味を込めて
紀元前600年に初めて築かれ、実に2,600年余りの歴史を持つ由緒ある都市マルセイユは、丘の上にそびえ立つノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院が象徴的なランドマークだ。階段に沿って寺院に登れば、紺碧に輝く地中海とマルセイユの市街地が一望できる絶景が広がる。寺院の内部には、黄金色に華やかに彩られたドームと黄金冠を被った聖母像があり、船乗りたちの無事な帰還と安寧を願う家族たちの祈りを込めた船の絵や船の模型が満載されている。
マルセイユの活気は、毎朝開かれる路上魚市場に現れる。その日の早朝に地中海で獲れた新鮮な魚を毎朝市民に販売するこの場所では、身の詰まったタラのような魚が特に人気が高い。マルセイユの名物である伝統的な魚料理「Bouillabaisse」は、世界的な名品料理と肩を並べる。Bouillabaisseには、季節ごとに異なる6種類の旬の魚と各種野菜、そして移民によって伝わった香辛料のサフランが主材料として入る。かつて貧しい漁師たちの空腹を満たしていた庶民の食べ物は、今や世界的な珍味となった。
映像では、美食の国フランスでも150人しかいないというマスターシェフの一人が運営するレストラン「Trois Font」を映し出す。ここのシェフは、その日その日に地中海で獲れた新鮮な魚と、地域で採れるいくつかの旬の野菜のみを使用するという、新鮮な食材へのこだわりを見せる。
4代続く伝統と小説の舞台となったイフ島
マルセイユの文化は、家庭の歴史とも結びついている。映像では、祖父母から始まり、今では幼い娘に至るまで、実に4代が同じ仕事に携わる家族の姿を映し出す。彼らは「Santons」と呼ばれる彩色された粘土人形を作る。「小さな聖人」という意味を持つSantonsは、古くからプロヴァンスの人々が降誕祭が近づくと聖書の中の人物を模して作った人形を家の中に飾る伝統から始まり、次第にプロヴァンスの普通の人々を模写した人形として製作されてきた。
マルセイユ港の向こう側には、イフ島が位置する。マルセイユから120分の距離にあるこの島の「イフ城」は、16世紀初頭に建てられ、100年余りの間、多くの政治犯や悪名高い重罪人を収容した監獄として使われた。当時の囚人たちが壁に刻み込んだ落書きが今も残っている。イフ城が今のように有名になったのは、アレクサンドル・デュマの小説『モンテ・クリスト伯』のためだ。小説の主人公が14年間閉じ込められていた場所こそ、まさにこのイフ城である。
噴水の都市エクス=アン=プロヴァンスと中世の時間を歩く
マルセイユを離れ、車で1時間半走って到着したエクス=アン=プロヴァンスは、その名の通り水が豊かな「噴水の都市」だ。フランスにおいて地域名に「Aix」が付く場合、水が豊富であるか、あるいは水が良いという意味を含んでいる。市街地の至る所には、それぞれ異なる形の噴水が100以上も設置されている。ここでは、市民なら誰でも参加できるカーニバルが開かれることもある。かつて宗教的な行事から始まったこの祭りは、参加者が互いに紙吹雪をまき散らしながら、大地の豊穣と多産を祈願する伝統を引き継いでいる。一年に一日、エクス=アン=プロヴァンスのミラボー通りは市民に自由と幸福を授ける。
プロヴァンスの別の魅力を探し、車で2時間の距離にあるMannesへと向かうと、一面の緑の自然が迎えてくれる神秘的な風景が現れる。地図には載っていない童話の中の村のようなこの場所から、さらに1時間ほど行くとムスティエ=サント=マリーの村に辿り着く。700人余りの住民が中世時代に建てられた家で今も暮らしているこの小さな村の狭い路地を歩けば、中世へのタイムトラベルが始まる。
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